2024.01.04

労働力人口の減少に備え 誰もが「好きを仕事」にできる世界へ

労働力人口の減少に備え 誰もが「好きを仕事」にできる世界へ

近年、日本では人手不足が深刻化している。一説には、2040年の日本は1100万人の労働力が不足すると言われている。労働力に乏しい状況でも会社を回すためには、1人1人の業務効率化による生産性向上が必須だ。今回は、業務可視化SaaS「業務改革クラウド株式会社」代表取締役兼CEOであり、業務改革・ITコンサルタントとして活躍する与田 明氏にお話を伺った。

創業の経緯

与田氏は大学時代、自分で学費を稼がなければならなくなり、アルバイト漬けの日々を過ごしていたことから、「面倒な業務を自動化したい」という願いが芽生える。大学時代からRPAテクノロジー社にてプリセールスとして従事。大学卒業後も、アジアクエスト社にてRPA導入支援の新規事業立ち上げを行うなど、労働の自動化に深く関わってきた。

そうした中で与田氏が痛感したのは、日本企業の業務自動化にはまだまだ多くの課題があるということである。RPAやその他の業務効率化システムを取り入れてみてもうまく活用できず、思ったような効果が出ないことも多い。その原因は、そもそも自動化以前の問題にある。多くの日本企業の業務は属人化しており、自社の業務における課題を把握できていないのだ。そんな状況下で自社にマッチしないソリューションに溺れてしまっているというのが現在の実情である。

これを解決するためには、何よりもまず業務可視化による課題把握が必要だ。与田氏が着目したのは、業務ログから業務可視化を実現するソリューション「プロセスマイニング」である。

プロセスマイニングとは

プロセスマイニングは、近年欧米の先進企業を中心に用いられている業務効率化のソリューションだ。具体例としては、アメリカのUberやドイツのシーメンスで、オペレーションの工数削減や顧客体験の向上といった成果が得られている。日本ではまだあまり使われていないものの、「業務改革クラウド」がパイオニアとしてサービスを提供する。

従来の業務可視化では、業務担当が1日に誰が何をやったのか記録したり、業務コンサルタントがヒアリングをたくさんかけていくというのが主流だった。この手法は1人1人にかなりの手間がかかるだけでなく、自己申告制のため実際の業務とのズレが避けられない。一方で、プロセスマイニングはオフィス業務のログを自動で収集し、ダッシュボード上で自動集計するという低コストかつ正確な業務可視化だ。

Fortune Business Insights「Process Mining Software Market」によれば、2022年の世界のプロセスマイニングソフトウェアの市場規模は1,582億円。2023年から2030年にかけての年平均成長率(CAGR)は49.4%、2030年の市場規模は3兆8,808億円に成長すると予想されており、今後も成長が期待される市場だ。

工数分析、プロセス分析はすべて自動

「業務改革クラウド」が各PCにインストールされると、そのPCがどんなアプリやファイルを開き、どんなサイトを見ているのかをバックグラウンドで毎秒ログを取得する。得られたログのうち、どれが何の業務に該当するのかを自動で振り分け、ダッシュボード上に表示される。施策管理の画面では、業務可視化された後のアクションを登録することができる。実施している施策のステータス管理だけでなく、工数の推移からどれくらいの費用対効果が出たのか計算する機能も備わっている。

料金体系は、月額50,000円で50名まで業務の可視化、施策管理が行えるスタンダードプランが基本プランだ。エンタープライズではこれらの機能に加え、業務改善のコンサルティングも担当する。

最大で年間8800時間の削減に成功 週休3日に挑む企業も

「業務改革クラウド」は、業界業種を問わず、主に従業員100人以上の中堅・大企業に導入されている。東証プライム上場のある大手メーカーは、自動化対象業務の洗い出しと自動化により、年間8800時間、約500万円分の費用削減に成功した。東証プライム上場のある半導体商社も、「業務改革クラウド」で削減された時間を活かし、給料を据え置いたまま週休3日を試験導入している。

誰もが「好きを仕事」にできる世界へ

日本におけるプロセスマイニング市場はまだまだ未開拓である故に、成長余地も大きい。今後は、業務改革クラウドで分析した業務ログを基に自動で施策を提案するレコメンド機能の実装や、専任のコンサルタントやカスタマーサクセス職の採用を強化することで、顧客企業へのサポートをより手厚くする構えだ。

業務改革クラウド社は、「すべての労働を自動化し、誰もが『好きを仕事』にできる世界へ」をミッションとする。先端テクノロジーを活用によって人の生活に必要な労働をすべて自動化し、誰もが「好きを仕事」にしても成り立つ世界にできるように、与田氏は今日も奔走する。