2023.05.01

川上忠道、60歳。AIでホテル業界に変革。

川上忠道、60歳。AIでホテル業界に変革。

飲み会よりChatGPTの勉強。ホテル業界の改革。

「川上忠道、60歳です。」少しはにかみつつ柔和なまなざしで素敵な自己紹介をしてくれた川上さん。ひょっとすると、目まぐるしく変化し、誰もが慌てふためいている今の世界を一番楽しんでいるのはこの方なのかもしれない。

川上忠道さんのプロフィール

35歳で日本ホテルスクールに就職。25年間ホテルの教育に携わる。元副校長でした。HUNTERCITYには2年前から参加している。

日本ホテルスクールは一昨年50周年を迎え、通算1万4000人ほどの人材をホテル業界に輩出してきた。2年間に2度ある海外研修ではフィリピンのパーペチュアルヘルプ大学などとの交流を深め、学生はそこでの異文化との接触を通して、国内だけでなく海外でも活躍する卒業生もいる。

有志溢れる仲間との出会い

「こんな世界があるんだ。」進撃WEEK1回目は衝撃だった。そこでは「0から1」を作り出し、世の中に打ち出していこうとする「有志」の熱であふれていた。そして今までは接点を持ちえなかった、自分と異なる業界でAIに携わる人たちの存在、思考、意気込みとの接触が川上さんを新たな挑戦へと駆り立てた。

衝撃からの吸収、そして熱中

川上さんの行動は早かった。初参加で得た衝撃を次の「学び」というアクションへと昇華させた。1年後に開催された2回目の進撃WEEKまでは「自分が何を取り込んでいけばいいのか考える時間」には十分だったらしい。そうして、貪欲に吸収していった先に一つのビジネスチャンスの端緒を川上さんは見出した。

川上さんが在籍する日本ホテルスクール

「ワインよりchatGPT」

世間ではつい最近話題になってきた様に思われるchatGPT。この生成系AIの存在を彼は一足先に知っており、この一か月はchatGPTにのめりこんでいたという。

huntercityにて行われたAI研修で学び合格した村岡氏を筆頭に立ち上げられた「chatGPT研修」。そこに参加した川上氏はchatGPTを自分のビジネスシーンに生かすことを思いついた。

もともとはお酒が好きでワインでくつろぐ時間が至福だった、と川上氏。しかし、huntercityに入り、chatGPTと出会い、そして自分の思い描くビジネスプランがある今となっては「ワインよりもGPTのほうが断然楽しいんですよね」。

huntercityで自分が学んだことを自分の業界に還元することに何よりのやりがいを感じているそうだ。

最年長が若手に教えるAIの意義

ホテル教育に25年もの月日を捧げてきた川上氏。今、AI技術を学んだ末に想起した新たな試みによる業界の発展を思い「日々ワクワク」している。

現在、ホテル業界では最年長に近い川上氏が先陣を切って若手にAI教育を施しているのだ。

フィリピンの事業パートナーの皆様と。

川上氏が考える「ホテル×AI」

具体的にはどのようにAIをホテル業界に活かしていくのか。

川上氏は「人材不足」「未だ海外に開ききっていないPR」をAIで解消することを企図している。

・「最高品質を最大限に伝えることを可能に」

料理長が腕によりをかけた一品。サーブする際にはそれにふさわしい高度な商品知識とサービスマインドが求められる。しかし人手不足のホテル業界ではそれを可能にする人材が足りていない。その現状をAIの技術を使うことで、支配人や女将さんの直の声をすべてのお客様に届けることにより解消することが期待できる。どのような思い、どのような考えのもとで様々なサービスがなされているか、最前線の方々の直の熱い思い、まごころを伝えることができるのだ。

・「海外へのPRを強化」

また、AIは海外に大きく門戸を開く契機にもつながる。今日でも国内における、海外観光客向けの国内情報の発信は十分とは言えない。しかし、AIを使うことで様々な言語への対応が容易になる。「どこに行ったらいいの?」を、どのような言語、背景を持つお客様に対しても対応できるようになるのだ。

生かさないと意味が無い。貪欲に新人になったつもりで

インタビュー全体を通して、要所要所でくすっと笑える部分も交えながら、非常にわかりやすく穏やかに話してくれた川上氏。だが驚いたことにhuntercityに入った当初はご自身の思いの丈だけ、お話の尺もとうとうと伸ばしてしまうタイプだったらしい。しかし、参加から2年で戸村社長いわく「シリコンバレーでも通用する話術」。

その周囲を驚かせる成長について本人は「学んだことは生かさないと意味がない。新人になったつもりで貪欲に吸収しないと、と思って日々過ごしています。」と教えてくださった。その笑顔からは青春の匂いがした。

取材動画

文章構成:佐々木愛子

聞き手:戸村光