2023.06.21
Eコマースとは、中国での市場規模は3兆6,652億円と言われ、成長が見込まれるネットショッピング等を指す市場である。成長を続けるEコマース業界で吉田氏は既に新しい挑戦を始めている。
吉田氏は、「誰もが挑戦できる世の中をつくる」をミッションにECアカデミアというECサイトを運営する人材育成教育プログラムを運営しており、現在既に400名を超える卒業生を輩出している。そして、卒業していった人材をさらに活躍させていくために2023年は次のステップに進んでいくと語る。
吉田氏は卒業生を輩出して、企業とEコマースの仕事をしていく中で働き手が増えたとしても企業側への課題を見つけた。
まず見つけた課題は、Eコマースに不慣れな企業は次に何をするべきなのか等の指示出しができないという課題である。この課題に対しては立ち上げから軌道に乗るまで満たしていかなければならないタスクを明確化し、企業に表示することで企業が働き手に指示をすることが出来るようにした。
そして、Eコマースの運営は日々のルーチンワークの繰り返しが非常に多い。その為、Eコマースの運営は経営のコアの部分に集中することができない原因となってしまう。その為、煩雑なルーチンワークの自動化を完成させた。
更に、Eコマースを導入するにあたって自社のEコマースを成功させるための最適なツールが分からないという根本的な課題が存在していた。EコマースのためのSaaSは山のようにあり、結局何を使えばよいか十分な知識を持っていない企業では分からない。その為、各社のストアの状態に合っているツールを企業に紹介することで、各社のストアに最適のツールを導入することを可能にした。
こうした課題を解決することで、受注作業時間は短縮され、機械化による稼働時間を上昇することができるだけでなく、自身のECサイトを運営する人材育成教育プログラムでの課題も解決することができると吉田氏は考える。その人材育成教育プログラムでの課題とは、同じ内容を学んだ卒業生でも、自ら仕事を獲得する人と仕事にチャレンジできない人が存在することである。プログラムに参加したが、仕事にチャレンジできない人の多くはパソコンや技術的な部分に不安を持っていることが主な原因である。そうした不安の元である技術的部分をシステム側がAIを用いて、補うことで、仕事にチャレンジできなかった人達にもEコマース運営に挑戦できるサービスを作りあげていきたいと吉田氏は語る。
吉田氏はこれまでのECアカデミアなどでたまっていたデータをどういったAIに読み込ませていくのか、それともAIを実際に一から自分達で資金調達してつくるのかと悩んでいた。その際に、カナダには吉田氏自身がつくりたいと考えていたレコメンドエンジンをすでにつくっている人が多くいると知り、吉田氏はシステムにAIを導入するためにカナダのトロントに渡り、AI事業の協業の相手を探した。そして、カナダにはAIスタートアップの数が多く、研究として行っているがマネタイズまではできていない会社が多く存在したため、そうした会社とAI事業で協業することとなり、システム改善のためのAIを自社のシステムに組み込むことに成功した。
吉田氏がカナダに渡った理由はそれだけではない。元々吉田氏が運営するECアカデミアはグローバル展開の為に多言語開発をしており、開発しているシステムも日本市場だけでなく、グローバル市場も視野に入れていると吉田氏は語る。できるだけいろいろな人にこのサービスを使ってもらうために安価に提供する必要があった。何故なら、日本のEコマースのSaaSによくあることとして、開発費用の元を取ろうとすると利用料金が高額になってしまい、利用者数が減ってしまう傾向にある。その為、マーケットを日本だけに絞らずに世界を対象にすることで、世界中の多くの人々に利用されることで、一人当たりの利用料金を下げたかったと吉田氏は語る。
授業をしている生徒とオタワのshopify本社に行く吉田氏
吉田氏が運営するECアカデミアというECサイトを運営する人材育成教育プログラムから卒業した学生は現在既に400名を超えており、それぞれが様々な分野で活躍している。コースとしては3つほどあり、企業の下で従業員として短時間で働きたいワーカークラス。そして、自分がオーナーとなって活動していくことを目指す事業者クラス。さらに、自分が現場の責任者として活躍することを目指す社会人クラスがある。その中でも、Eコマースとはなにかといった状態から始める方が多数の中、最終的にはコンサルティングファームの方のアシスタントや、空港等の電子掲示板のバックヤードやコンサート会場のCS対応などのECアカデミアに参加しなければ決して縁のなかったような分野にチャレンジしている卒業生は多い。
目まぐるしく早いスピードで最新が更新されるEコマース業界で、参入するハードルを下げようとする吉田氏の行動によって、誰もが挑戦できる世の中はつくられていくのではないか。
文章構成:玉上寛太
聞き手:戸村光
2003年、千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部在学。7歳からサッカーを始め、現在も趣味はサッカー(観戦も)。中学生の頃に起業することを志し、現在は起業に向けて様々な活動に参加中。